ゆるやかな坂道を降り続く雨が流れ落ちてゆく。

ぼくはなにかがしたかった。

でもなにをしたところで永遠に続く雨期のようなこの雨は

それを飲み込んで流していってしまうように思えてならなかった。

ぼくにはなにもなかった。

命の鼓動を感じるほどの極限もなければ、浮かれて調子に乗るほどの寂しさもない。

あるのはぼくを抑圧する正方形に型どられた白い壁だけだった。

例えばこの部屋一杯に膨らんだ思いに壁が崩れていったとしても

降り続く雨にすべての熱は拡散してゆくように思えた。

ぼくは何かがしたかったが、あれこれと思考するうちに

それらはいつもこの雨に流されていった。

雨はいつ止むのだろうか。

そんなときぼくのなかになにかが入り込んだ。

人はそんなのは嘘だと言うだろう。

しかし確かになにかが入り込んだのだ。

じりじりと焼けこげる臭いとともに、ぼくのなかに強い意識のようなものが入り込んだ。 

その瞬間、ぼくのなかで何かが弾けた。

あらかじめぼくのなかに埋め込まれていたなにかが興奮となって沸き上がった。

その熱さはこの雨の寒さや静けささえも振り払うものだった。


ぼくは身を委ねる心地よさに触れながら、逃れられないのだな、と思った。




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